がれき広域処理問題 北九州で逮捕者…無用の対立を持ち込んだのは誰か
宮城県石巻からのがれき受け入れを巡って、北九州市で抗議の市民が逮捕されたというニュースが流れています。この問題では、受け入れを是とするのか否とするのか、求められた全国各地の住民の間、行政と住民の間、被災地と各地の間で、対立が生まれ問題が複雑化しています。
これは、どちらかが正しく、一方は間違っているという対立ではなく、別の形の矛盾が持ち込まれたものです。根本の矛盾の原因を明らかにして、解決の方向を示さなければなりません。
「がれき処理問題」と、「放射性物質の処理問題」2つの側面をきちんと整理
震災がれきの処理という側面
たとえば、原発事故がなければ、単純に「震災・津波によって発生したがれきをどう処分するか」を考えればよい課題です。がれきの処理能力や方法を考え、被災地以外で活かせる施設や能力があれば協力してもらうことも大切です。復旧・復興のために早く処理するという側面と、がれき処理自体を地域の雇用の受け皿として地域経済の再生のステップに位置付けることも大切だと思います。とりわけ、遠くまでがれきを「運ぶ」ことのコストと、それで儲けようとする被災地以外の大きな企業の存在を考えておくべきです。
宮城県は、21日県内のがれき総量1800万トンのうち、県が処理をしなければならない分は減少する見込みだと発表しました。(1107万トン→676万トン)県外自治体に要請する広域処理量も減る見通しです。(354万トン→114万トン ※根拠はあやしい、もっと減らせるのでは?) [河北新報5/22付より↓]

一方で岩手県は、がれき総量は525万トンの見込みから90万トン増え、広域処理量も56万トンから119万トンに増えるとしています。
つまり、震災から一年たってまだ、被災地域内でどこまでやれるのか十分検討されていないということです。
震災ゴミは一般廃棄物 だけど中身は産業廃棄物
震災ゴミは、一般廃棄物として行政に処理が任されます。しかし、その中身は、建築廃材などと同様、産業廃棄物の処理方法で処分すべきものが大半です。一般廃棄物処理の仕事(家庭ごみの収集・焼却・埋設、ビン・缶などの選別)しか扱ってこなかった行政にとって、途方に暮れる課題であったことは事実です。
そこに実際は産廃処理のノウハウもないゼネコンが、県に助け舟を出し、仕事が丸投げされた・・・今、起きている困難・矛盾の一つはここにあります。ゼネコンの作った処理計画は、大量のがれきを遠くへ運んで処理する、運送費に大きな費用をかけそこで儲ける、という中身でした。その数字を、県や環境省がそのまま「広域処理が必要な量」として発表していたのではないか・・・今回の見直しで、さらにその疑いが強まっています。
仙台市では、市域内のがれき処理を市で行うことにし、ゼネコンではなく産業廃棄物処理業者に委託をしました。がれきを仮置き場に運ぶ時から、分別を行い焼却するもの、埋め立てるものをできる限り減らす、危険なものの管理を徹底する方法がとられています。
宮城県内でも、石巻ブロックを除けば、それぞれの地域内での処理が可能だとされています。広域処理を、お願いする前に、域内処理、県内処理、東北内での協力についてもっと検討を深めるべき課題だと思います。参考 赤旗4/23付「宮城県ゼネコン丸投げ がれき処理進まず」
放射性物質としての側面
仙台市のがれきの放射性物質の濃度は高くありません。しかし焼却施設で燃やせば、その飛灰(フィルターでキャッチされたもの)は1500㏃程度まで高くなります。濃縮されたものをどう扱うのか、危険を広げないように、きちんと管理するよう方法を定めるべきです。
本来原子力施設などに閉じ込められていなければならない放射性物質が、大量にばらまかれてしまった責任は、東京電力と政府にあります。がれき処理に対する、困難や放射性物質の処理に関する責任も、東電と政府が負うべきものです。
放射性物質の人体への危険性については、私は繰り返し発言をしていますが、「安全か危険か」で済むものではなく、それぞれのレベルによってどのくらいの危険度なのか理解し、それぞれが判断できる方向に進むべきだと思います。(これもばらまかれてなければ必要のないことですが)
放射線管理の立場からは、分散させない、集中してしっかり管理することが原則です。わざわざ汚染されていない地域に持っていくことは基本的には避けるべきです。どうしても、必要な場合は、処理方法、管理方法が徹底されることと、危険度の理解が十分できて住民が自ら判断できる状態にしなければなりません。これは、被災地でも相当困難なことですから、他の地域ではほとんど不可能だと感じます。
いずれにせよ、広域処理が本当にどれだけ必要なのかあいまいなまま、住民理解を得ようとしても不毛な対立を生むばかりです。
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