9月議会閉会 ごみ有料化の結末は?
市民の声は7月のパブリックコメントでも二分しているのに、9月議会に有料化の条例案をだした梅原市長。市議会与党各派も、さすがに若干の抵抗をしましたが、最後は「なんだかなぁ」という対応になりました。
①大袋(45L) 1枚50円を2割安くして 「40円にする」
②実施時期を来年7月からを遅らせ、「来年10月」からにする
③大中小に加え特小袋をつくる
という、議会与党が提出した「修正案」が可決されました。
「なんかおかしい」でしょ?市長に対して「なぜいま有料化なのか」「なぜ50円なのか」説明を求めていた与党議員が、修正案を出す側になりました。同じ質問が、今度は市民から議会に寄せられることは、間違いありません。
10/4の最終日、私は討論を行いました。録画中継はこちらから
↓全文はこちらです。
2007第3回定例会討論
映像はこちら
2007.10.4 by花木
日本共産党の花木 則彰です。会派を代表して討論を行ないます。
昨年の第3回定例会中に発足した安倍政権は、たった一年で今議会中に首相が辞任し、福田内閣にかわる事態となりました。日本全体が、これまでの政治や経済のあり方の見直しが迫られる、激動のはじまりです。仙台市議会においても、議員の政務調査費や、ごみ有料化問題で、市民注視の中、議論が行われました。4月に行われた選挙で訴えた、公約や姿勢がきちんと貫かれたかが問われる議会でした。
最大の焦点となったのは、ごみ有料化の問題です。ごみ減量にどう取り組むか、市民と市当局との関係、議会と当局、市民と議会の関係、さまざまな角度から議論されました。討論にあたり、私たちの考えを、改めて述べます。
ごみ減量は、地球環境を守るという点でも緊急の課題です。燃やしたり、埋め立てたりすることをやめる、そもそもごみが発生しないよう製造段階から流通までさかのぼった対策が求められています。ごみ処理の段階については、徹底した分別を行い、リサイクルにまわすものを増やすことです。これには、市民や事業者の努力が必要です。そしてこれらにかかる費用は、本来、製品を製造し販売する企業が負担すべきものです。そうしてこそ、ごみの発生しない製品や商品がつくられたり、容器については再利用するシステム構築につながります。仙台市のごみ有料化方針は、徹底したごみ減量の努力をしないで、まず、処理費用を市民に負担させようとする点で、間違っています。
市民の努力と協力があって、これまで仙台市ではごみ減量が成果を挙げてきました。今、もう一段階、減量を進めるには、紙ごみの分別回収をつよめることです。子ども会などでの集団資源回収をこれまで以上に応援しながら、自治体による紙ごみの定期回収を実施することです。市の計画でも、月2回の定期回収を実施するとしていますが、約1億円あればできると言います。市のモデル事業でも、月2回の紙ごみ定期回収で30%近くのごみ削減ができています。1億円かけて紙ごみの定期回収を行なえば、3割のごみ削減が行えるのですから、有料化による市民負担を20億円もさせる必要は全くありません。有料化を撤回し、紙ごみの定期回収を急ぎ実施するべきです。
特に大都市では、有料化はごみ減量につながらず、不法投棄や分別の不徹底という逆効果をもたらすことが立証されています。名古屋市や横浜市では、有料化をしないで30%以上のごみ減量に成功しています。ごみ焼却場を減らすことで、ごみ処理費用の削減にもつながっています。そのカギは、市民にごみ分別の意義や効果を、地域ごとに平日・休日、昼・夜ときめ細かに説明会を開き徹底したことです。有料化のお願いをするための説明会ではなく、ごみ減量、分別のための説明会をこそ、仙台市は開くべきです。
当議会の議論でも、「決めてから市民に説明する」という市当局の姿勢の問題点がクローズアップされました。私たちは、「決める前に市民の意見を十分聞き」市民理解のうえで方針を決めることが大切だと考えます。同様のことは、議会についても言えます。大事な問題については、その都度、市民の意見を聞く、市民の中で意見が分かれている問題は十分時間をかけて審議し決めることが大切です。当局の拙速な有料化の提案を、きっぱり否決して、十分市民の中での議論を忖度(そんたく)し、再検討すべきです。
その点で、議員提案による修正案は、市民意見が2分しているまま、有料化を決め市民に押し付けるという内容に変わりはありません。実施時期を3ヶ月延ばすことも、紙ごみの定期回収を先行させるというものではなく、有料化にあわせて先延ばしにするといいます。これでは、市民の側ではなく、市長と同じ側に「議会が立った」といわれても仕方ないものです。
私たちは、修正案も含めて、有料化方針にきっぱりと反対し、市民意見を踏まえた案を出しなおすことを求めます。
以上のことから、第138号議案 平成19年度仙台市一般会計補正予算(第2号)第1条歳入歳出予算の補正中、歳出 第5款 環境費 第2条債務負担行為の補正中、家庭ごみ等受益者負担制度工法啓発事業、家庭ごみ等指定袋 製造、家庭ごみ等指定袋 保管・配送、家庭ごみ等ごみ処理手数料収納システム構築・運用事業に反対します。なお、第2条債務行為の補正中、ごみ集積所 管理支援事業、紙類定期回収事業は有料化にかかわらず行うべきなので賛成です。第145号議案 仙台市廃棄物の減量および適正処理に関する条例の一部を改正する条例に反対します。
その他、反対する議案は、第131号議案 平成18年度仙台市一般会計・特別会計歳入歳出決算認定に関する件、第134号議案 平成18年度仙台市高速鉄道事業会計決算認定に関する件、第140号議案 平成19年度仙台市高速鉄道事業会計補正予算(第1号)、第142号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例、第149号議案 仙台市道路占用料条例の一部を改正する条例、第152号議案 仙台市天文台条例の一部を改正する条例、第161号議案 指定管理者の指定に関する件です。これは、提案されている、32件の議案のうち9件にあたります。
以下、反対の理由を申し述べます。
まず決算についてです。
7月の参議院選挙で、自民党・公明党政権が進めてきた、「構造改革」路線によって、庶民の暮らしをこれ以上壊させてはならないという国民の強い意思が示されました。「貧困と格差の拡大にストップをかけ、生活不安を取り除いて欲しい」というものです。急速に悪化している市民のくらしの状況を、しっかりと捉えて、市の仕事が進められているのか、全般にわたってチェックする議論を私たちは行ってきました。
市民から血のにじむような税金を預かって、市民の福祉の向上のために使っているかどうか、今、自治体に問われています。市民の意見がいまだに分かれている、地下鉄東西線などには思い切ってお金を使う、その一方で、大変な状況をかかえている庶民への施策には、あれもこれもダメと冷たい市政では、市民は納得できません。これまでの市政の路線を、根本的に切り替えるべきです。
第131号議案 平成18年度仙台市一般会計・特別会計歳入歳出決算認定に関する件、平成18年度仙台市一般会計歳入歳出決算、歳出について
第2款総務費では、市立看護専門学校や茂庭荘の廃止など、次々と市民生活にかかわるサービスの後退が盛り込まれている「行財政集中改革計画」は、多くの市民から反発を呼びました。これをすすめた行財政改革推進費に反対します。また、PFI運用推進費に反対です。
第3款市民費では、PFI手法での整備を決め、談合事件の影響も受け、結局整備が進まない、宮城野区文化センター整備推進費に反対です。PFI方式をやめ、普通建設工事として発注しなおせば、談合をくり返す大手ゼネコンでなくても地元企業で建設工事を行うことができるはずです。
第4款健康福祉費では、各種補助金の削減を進めたことに反対します。
第7款土木費では、仙台港背後地土地区画整理事業負担金、あすと長町地区の土地区画整理事業推進費、地方特定道路事業費、及び都市拠点総合整備事業費に反対します。また、仙台空港線整備費補助金、都市計画街路事業費のうち仙台北部共同溝および川内南小泉線安養寺工区に同意できません。
国直轄道路事業負担金、国営みちのく杜の湖畔公園の整備費負担金、および、維持管理費負担金は、国が本来全額負担で進めるべきものであり反対します。
第8款消防費では、戦争準備に市民と自治体を巻き込む狙いを持った、国民保護計画の策定に関する経費に反対します。
第9款教育費では、PFI手法で整備する天文台移転建設費、野村、および幸町学校給食センター移転建設推進費に同意できません。
市立小中学校適正規模等検討委員会費、定員を減らす市立高校の再編計画にかかわる経費に反対です。また、市民センター事業費中講座費の激減に同意できません。
歳入につきましては、以上の事業に関わる、第17款国庫支出金、および第24款市債について反対します。
平成18年度仙台市都市改造事業特別会計決算は、市債管理基金から駅北部第一南地区・アエルへの借入金8億5400万円に反対です。
第134号議案 平成18年度仙台市高速鉄道事業会計決算については、
決算年度、市長は、市民合意の無いまま「加速的推進」を言い、東西線を本格着工しました。東西線関連の契約は、合わせて29件、総額225億円にも及びました。多額の市民のお金をつぎこむことになる、地下鉄東西線建設関連の決算に反対します。
補正予算では、地下鉄東西線建設とそれに伴う、青葉通りのケヤキ移植関連の問題がありました。第138号議案 平成19年度仙台市一般会計補正予算(第2号)中 第1条歳出 第7款土木費について、第140号議案 平成19年度仙台市高速鉄道事業会計補正予算(第1号)について反対意見を述べます。
私たちは、地下鉄東西線建設について、市民意見が二分され、未だ十分な合意と納得がない状況で、地下鉄東西線建設は凍結すべきという考えで、今年度の当初予算にも賛成しませんでした。今回の国からの追加補正についても、同様の考えです。
ケヤキ街路樹の移植本数変更に伴う補正予算については、そもそも、ケヤキの取り扱いは、地下鉄東西線建設にともなう問題です。当初予算では、ケヤキ移植に関わる予算の減額修正案を私たちは提出しました。それを否決し原案通り強行しておいての、今回の補正であり、賛成できません。
当初当局が示していた方針は、「根を掘ってみて、根付くことができるものは移植する。生かすことのできるケヤキは生かす。残念ながら、他は伐採する」というものであり、審議会が示したものとほぼ同じ内容でした。あらかじめ「何本は伐る」という数字を定めたものではなく、作業を進めながら「確実に残るものを残す」というものでした。数年前に一定の時間をかけて市民アンケートも行い、説得力もそれなりに持つものでした。「ケヤキは仙台のシンボル、残して欲しい」という市民の願いにも、ある程度添ったものといえます。
ところが、「ケヤキの精の声が聞こえたので、すべて移植する」という、突然の意味不明の市長の発言で、対象となるすべてのケヤキを移植する予算が提示され、それが市民に混乱を与えました。
その後今年度に入ってとられた、「ケヤキの取り扱いに関する市民1万人アンケート」では、実質的には「移植か伐採か」の選択を迫る内容で、それ以外の様々な市民意見は重要視されない結果となっています。実際には、地下鉄東西線建設そのものを優先させることに疑問を呈する市民の声がたくさんよせられました。
今回の補正提案は、あらかじめ本数を制限して、後は伐採というもので、当初の提案からみると「残して欲しい」という市民の願いにそむくものになっています。また、物議をかもした問題発言をして、結局はその当初の思いを貫くことをしない梅原市長の態度は、無責任の極みといえます。本来であれば、当初予算を取り下げるべきところ、議会を軽視し、自分の言動のつじつまをあわせ、そのための市民意見をアリバイ的に作り上げようとしている梅原市長の手法を、市民は認めないでしょう。
その他の議案では、
第142号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例は、国が公務員に対して、「おおむね4時間に15分の休息時間をもうける」としていた人事院規則を昨年廃止したことに沿って、仙台市でも休息時間を廃止しようというものです。実質的には、お昼休みを現行の60分から15分短くするか、勤務時間を15分延長するかを迫るものとなっています。
お昼休みの短縮は、職員のメンタルヘルス上への影響や、周辺商店街への影響も心配されます。勤務時間の延長は、保育所へのお迎えをはじめ、子育てや生活のリズムなどからも簡単に変更できるものではありません。
国の休息時間廃止の理由は、「民間で根付いていないから」という大変希薄なもので、実際には5%以上の事業所で実施されており、民間での労働条件の後退にもつながりかねないものです。仙台市において、急ぎ実施する理由は、一つも述べられておらず、市民の利益にもつながらないことから反対です。
第149号議案 仙台市道路占用料条例の一部を改正する条例は、10月1日からの郵政民営化に伴い、ポストなどが立てられている道路敷地等に対して、新たに道路占用料を取るものです。今までも、「ポストが足らなくて、増やして欲しい」「集配の回数を増やして欲しい」との市民要望が出されているのに、集配コストを理由に、なかなか応えようとしない状況があります。
今回、市が道路占用料を取ることになれば、これを理由に、この際だからとポストが減らされる心配があります。市民の要望を退ける事態を招くことになりかねません。
日本共産党は、国民へのサービス低下を招く郵政民営化に反対してきました。民営化が自民・公明政権によって強行されましたが、郵便事業の公益性は引き続き重要だと考えます。「仙台市内に、ポストなど道路占用料を取る対象物件がどれくらいあるかわからない」との市当局の無責任な答弁もありました。数年間の経過措置を設けるのなら、あえて、今議会で急いで条例改正をする必要はありません。市民の不利益につながる本条例に同意できません。
第152号議案 仙台市天文台条例の一部を改正する条例、第161号議案 指定管理者の指定に関する件は、PFI事業者に天文台の運営を委託する案件です。
長年、市民に親しまれ、また研究上も大きな成果をあげてきた仙台市天文台は、直営で運営すべき施設であり、指定管理者はもちろん、PFIでの整備にはなじみません。
「PFI手法導入ありき」で検討を進めてきたことの矛盾は、東京事務所、スポパーク松森、宮城野区文化センターなどで、次々と現れています。「建設とその後の長期にわたる運営を一括して民間に任せる」というPFI手法は、市民の声を生かしながら改善を図る市の責任をあいまいにするもので、重大な問題があり、この議案に反対します。
最後に、政務調査費の透明化について、今議会中に政務調査費検討委員会の答申が議長に出されました。私たちは、これまでにも2回に渡って、政務調査費の支出報告書に領収書の添付を義務づける条例改正案を提出してきました。それが、実現しない中、4月に行われた市会議員選挙においても、重要な争点として、政務調査費の使い道について市民に明らかにすることを掲げて訴えました。新しい構成になって6月、改めて「政務調査費に関する検討会議」を設置し、今回「収支報告書に領収書を添付すること」が合意されたことは当然のこととして歓迎します。
しかし、残念ながら、一致に至らなかった問題もありました。私たちは、領収書の公開について、「あるものは全て公開することが原則だ」と主張してきました。今後、条例改正や規則・要綱、マニュアルなどの整備が進められることになりますが、引き続き奮闘することを表明して、 以上、討論とします。ご清聴ありがとうございました。
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