奥山仙台市長への日本共産党市議団の評価 河北新報からのアンケートへの回答
先日、地元紙から市議会各会派に「奥山市政評価についてのアンケート」がありました。
6/28付の紙面で、各会派の評点が紹介されました。日本共産党市議団の行った回答についてここにもアップしておきます。(「2 被災者支援について」 評価しない:1としましたが、手違いがあり、あまり評価しない:2となっていました)
河北新報の奥山市長評価についてのアンケート
日本共産党市議団の回答
Ⅰ 震災対応について
1 初動対応(人命救助、避難所運営、がれき処理など)
評価2
がれき処理では、現場の判断が生き、集積の段階から分別を行なうなど、県や他自治体と比して評価できるものがあった。しかし、その他は、災害救助法の精神を生かした柔軟な対応が行なわれず、また全国から寄せられた義援金の交付も遅かったことなど、被災地の自治体の首長として決断も県や国への姿勢もふがいないものだった。
2 被災者支援(住宅再建への支援、宅地復旧、コミュニティー形成支援など)
評価1
宅地被害の救済策を国の施策として求めることは、遅きに失したとは言え評価する。
津波被災者を災害危険区域か否か、今後の浸水予想シミュレーションで線引きし分断するなど、被災者の救援が第一の目的に座らず、これまである施策をただ杓子定規に運用するという対応が多すぎた。コミュニティー形成は、仮設住宅の段階でも、復興公営住宅の段階でもまったく考慮されていない。今後に禍根を残す事態である。
医療費と介護利用料の一部負担金の被災者免除を3月末で打ち切った問題は、日を追うごとに被災者の健康と生活にとって重大な影響を与えている。国・県・市の政治がいかに被災者に冷たい仕打ちをしているかの象徴である。国の悪政の下でも、岩手県や福島県で免除が継続されていることと比べると、一番身近な自治体が、被災者の立場に立つのか、国と一緒に悪政推進の立場に立つのかの違いは明らかである。
市が単独で免除措置を維持するのに必要な経費は約15億円。これを「出すことはできない」と頑張る市長が、同じ口で、コンベンションホールや過大な駐車場、JR仙台駅の開発には数十億円の支出を「まちづくりに必要だから」と言う。被災者にどれだけ冷たいメッセージとなっているか、思い至らない。政治家として失格と言わざるを得ない。
3 復興ビジョン(防災減災、産業再生、復興まちづくり)
評価1
減災の考え方と、災害危険区域の乱暴な線引きは矛盾する。また、地域防災計画から文言は消えたが「行政の限界」から自助・共助への強調とつながる考え方は変わっていない。
産業再生では、仙台市は小売業を中心とする消費都市であり、消費税値上げが復興への打撃になることは明らかであるが、容認の態度をとっている。農業でも農業者の主体性を応援する復興よりも、外部からの企業参入での復興路線、TPPの先取りとなっている。
「復興の先を見据えたまちづくり」と言い、被災者の生活再建より、地下鉄東西線関連の開発・施設や、ハコモノつくりに偏っている。阪神淡路大震災での誤りを繰り返す行為である。
Ⅱ マニフェスト
1 待機児童ゼロ
評価1
仙台市の待機児童(旧定義)は、昨年に比べて182人も増えて、939人となった。民間の認可保育所が増えても、公立保育所を毎年2カ所も廃止するなど、まじめに取り組んでいるとは言えない。廃止計画を持っているため、正規職員を抑制し、臨時、非常勤を増やして対応してきたが、あまりの労働条件の悪さ、不安定さに希望者が集まらず、保育士の定員割れも恒常化している。
横浜市の「待機児ゼロ」も、実際には1746人もの待機児が意図的に数から外されたものである。せんだい保育室や保育ママ制度、幼稚園での預かり保育、株式会社参入などあれこれの施策では待機児童ゼロは実現できない。
6月17日の本会議で、待機児ゼロにするため施策の転換を求めた共産党市議団の質問に対し、奥山市長はまともに答えられなかったばかりか「今後さらに待機児童をより少なくするような形でとりくんでまいりたい」とゼロ公約を事実上放り投げた。少なくするだけなら、当たり前のことであり、公約ともいえないものである。
2 東西線沿線まちづくり
評価1
地下鉄東西線の建設費に加え、沿線開発が市の財政に大きな負担となることが予想される。八木山動物公園駅の駐車場を500台を超える大規模なものにし20億円もかけるなど、奥山市長のゼネコン奉仕型の大型開発偏重に拍車がかかっている。
広い市域のごく一部にだけ、市民の税金をつぎ込むことは、歪みを大きくするものである。
3 市民協働
評価1
全く評価に値しない。行政の責任を後退させ、その分、地域や市民に担わせようとするだけであり、市民の要望には全く応えようとしない。ニセ「行革」での職員削減、市民サービス後退が前提となっている。
本当の市民協働には、区よりももっと小さな単位(中学校区くらい)での住民自治の仕組みが必要。市長の都合に合わせて住民を動かすのではなく、住民の意思に合わせて行政が動くことが大切。
4 市役所風土改革
評価1
住民の生活を支える行政としての役割を発揮することは、職員にとってやりがいのある仕事です。問題は、市民の役に立っていると実感できない、政治のあり方です。大都市だからこそ、地域・住民とつながり身近に感じられる行政に改革する必要があります。
5 経済雇用対策
評価1
前提として、仙台の地域経済に市長や職員が精通することが必要です。区役所から経済課をなくしたのをはじめ、各種調査も外注するなどつかめていない。外からの企業誘致しか行なえていない。若者の雇用対策まで、派遣会社に委託するのでは話にならない。
6 ミュージアム都市構想
評価1
マニフェストの段階から意味不明の公約。進んだとも思えない。
7 高齢者施策
評価1
象徴が敬老乗車証の改悪。梅原市政は条例の目的から「敬老の意を表する」を削除して一部有料化を導入した。奥山市政は、敬老乗車証制度を単なる割引制度にしてしまった。高齢者の社会参加は大きく抑制されている。一人あたりの老人福祉費は、政令市の中でも最低クラスのままである。
Ⅲ 政治手腕
1 組織運営
評価1
「市役所一家」と言われないようにと、職員削減などニセ「行革」を自己目的化して来た。税務事務の本庁集約をはじめ、住民に直接接する区役所の機能を後退させてきたのは重大。
財政でしばり、現場の必要な提案を抑え込む、後ろ向きな上意下達となっている。
一方で、放射能に汚染された土砂の取り扱いまで施設管轄の部局任せにするなど、タテ割り行政そのもので自治体としての有効な手立てをとれなくしてきた。
2 他自治体との連携
評価1
東北の中心都市、復興のトップランナーと口では言うが、復興においても東北経済の振興についても、積極的な役割は果たせていない。国、県の不十分さを批判せず、そのまま受け入れる姿勢が目立つ。被災者や市民に必要な施策を先頭に立って実施し、県や国への財政措置や制度化を求めてこそ、他自治体と連携ができる。
3 発信力
評価1
政令市として、全国から評価される施策をこそ、発信すべき。市民に対しても、仙台市は何を努力しているのか伝わらない。ごまかしている現われだ。
4 危機管理意識
評価1
原発事故問題での対応に危機管理意識のなさが表れている。国や県、電力の言い分をそのまま受け入れているのでは、市民の安全が守られないことが明らかになった。しかし、奥山市長は、独自の調査や判断をせず対応が後手後手となっている。いまだに、女川原発の再稼働に明確な反対すらできず、容認の立場をとっている。
震災対応でマンパワー不足が指摘されているのに、今後の災害対応に備えて体制充実をさせず、人減らしを続けていることは、将来に禍根を残す。
5 親しみやすさ
評価1
笑うべきでないときに笑っているとの批判がある。しかし、温かみは感じさせない。
市民の声を親身に聞くことをせず、口を開けば「できない」という市の説明を繰り返すだけという場面しか思い浮かばない。
その他
「市民協働」「市民とともに歩む」など欺瞞の謳い文句を、貴社をはじめ無批判に報道することがないよう強く求める。
以上
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コメント
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昨年辺り、一度コメントしたことがあります。
南吉成住民です。
奥山市長への評価
終わってますね(笑)
しかし、実際、あの方は何もしてないかと思いますので、同意見です。
投稿: しゅう | 2013/07/03 12:46