仙台市のごみ焼却施設(震災廃棄物仮焼却施設を含む)では、どのような放射線の管理が行われているのか。市のHPでデータが公表されています。4月分の測定データ(PDF「4img514171405.pdf」をダウンロード)。
行っているのは、4つの測定
①灰積み出し場と敷地境界での空間放射線量
②灰の放射性物質濃度:焼却灰(主灰)、集じん灰(飛灰)、またはその混合灰
③排ガス中の放射性物質濃度
④放流水の放射性物質濃度
①は市内のほかの地域と変わりのない値になっています。②はそれなりの高い値、③④は未検出です。周辺に放射性物質が広がっているデータではありません。②も環境省の言う8000㏃の2割弱で管理型処分場に埋めるので「問題ない」というのが市の見解です。
バグフィルターでの放射性セシウムの捕捉率は
しかし、心配している市民や、がれき受け入れを巡って問題になっている「バグフィルターでほぼ100%の吸着ができるのか?」という疑問に答えられるデータになっているのか考えてみたい。
③の排ガス中の放射性物質濃度の測定では、検出限界1.56~2.3㏃/㎥で不検出となっている。しかし、排ガスを直接検出器に入れて測定できるわけではない。環境省の「放射能濃度等測定方法ガイドライン(2011.12)」「gaid1.pdf」をダウンロードに沿って測定されているとすると、検出器(ゲルマニウム半導体検出器)に入れるのは、排ガスを通したろ紙とドレン部の水である。
果たして検出限界2㏃というのは、元の排ガス中の濃度に換算されているのか、それとも単純に試料として入れられているろ紙・水の濃度なのか。調べてみなければならない。
どのくらいの排ガスを通したかは、15L/分以下×240分で合計が3000L程度としている。1000Lで1㎥なので、試料にはその3倍分の放射性セシウムが含まれていることになる。排ガス中の濃度が2㏃/㎥だとすると、6㏃。試料の容積は水約2Lとろ紙も約2Lなので、水1㎏(1L)当たりの濃度は1.5㏃を検出できればよいことになる。きちんと、どれだけの排気ガスを通したのかデータがあるのだろうか。
③で測ったのは、バグフィルターを通った後の排気中の濃度。ごみを燃やしたガスに、外から空気を入れればいれるほど、濃度は薄くなる。大事なのは、外に出ていく放射性物質の総量だ。濃度×排ガス総量が必要なのに、排ガス総量なんてデータはないのだろう。
バグフィルターでの補足率もこれだけでは出せない。本来の意味からすると
集じん灰に含まれる放射性物質の量 ×100%
がれきの放射性物質量-焼却灰の放射性物質の量
いずれにせよ、がれきも、灰も、放射性物質の濃度にばらつきがあるため、正確に出すのは困難だ・・・「バグフィルターで99.9%除去できる」した環境省の根拠は何なのか?私も、ほとんど補足できるとは考えるが、仙台市の実際のデータで出せればよいと思ったのだが無理そうだ。
焼却灰・集じん灰の処理方法に不安
もう一点の問題は、燃やしたがれきの重量の約半分が「焼却灰」として残り埋め立てに回される、また「集じん灰」は特に放射性物質の濃度が高くなるが、その処理方法が適切なのかどうかという問題。
がれきの中に薄く分散していた放射性セシウムを、せっかく焼却・集じんで集めたのに、きちんと管理しなければまた広がってしまう。環境省は「8000㏃/㎏未満は、管理型最終処分場に埋め立てていい」としか言っていない。本当に濃度だけで切り分ければよいのか?
がれきは焼却しても約半分は焼却灰として炉の中に残る。濃度は低くても総量は多い。集じん灰は、仙台でも1800㏃/㎏を超えたデータもある。泥に吸着したセシウムは、水に溶けださないが、灰になっている放射性セシウムは塩化セシウムになっているといわれる。この形では、水が来ればすぐ溶け出してしまう。管理型最終処分場の排水に、放射性セシウムが出てきたとき、どう処理するのかも何も決まっていない。
少なくとも、水に溶けださないよう、泥と混ぜて吸着させるとか、ドラム缶などに入れて埋めるとか・・・手立てが必要なのではないか。
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